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美容師にとって敬語の知識は必要不可欠。接客が上手い人ほど敬語の使い方も絶妙で、ヘアスタイルのヒアリングや施術中、会計時など、美容室でお客様が快適に過ごせるよう常に気を配っています。しかし、正しく敬語を使えているスタッフは意外に少なく、自信満々に失礼な言葉遣いでお客様に接しているケースも…。そこで本記事では敬語の種類を紹介し、ちょっと気をつけたい接客用語やマナーを解説していきます。
- 接客中に「バイト敬語」使っていませんか?
- 接客が上手い人はフレンドリー?お客様には失礼と思われているかも
- 「◯◯様でございますね」は間違い!正しい敬語を知ろう
3-1.尊敬語とは?接客用語実例
3-2.謙譲語とは?接客用語実例
3-3.丁寧語とは?接客用語実例
- バックヤードに貼っておこう!間違いやすい敬語の種類
- 敬語やマナーをマスターして接客上手を目指そう
接客中に「バイト敬語」使っていませんか?
接客の際に使われがちな気をつけたい言葉として「バイト敬語」があります。美容室や美容院でも無意識に使っているスタッフがいるかもしれません。
バイト敬語とは、コンビニやファミリーレストランのアルバイトスタッフの言葉遣いから派生した"間違った敬語"です。たとえば、以下の言葉遣いは適切ではありません。
<バイト敬語の例>
・~でよろしかったでしょうか
・~のほう
・~になります
・○○円からお預かりします
・○○円ちょうどお預かりします
・「~でよろしかったでしょうか」は「~でよろしいでしょうか」へ
ファミレスで聞きなれた言葉ではありますが「よろしかった」は過去形で、会話中に急にこの言い回しが出てくるのは不自然です。「本日はカットとパーマでよろしかったでしょうか」「こちらのカラーでよろしかったですか?」といった言葉は、「本日はカットとパーマでよろしいでしょうか?」「こちらのカラーでよろしいですか?」と伝えましょう。
・「~のほう」は敬語では使わない
「~のほう」は、「紅茶よりコーヒーのほうが好き」といったように、なにかを比べるときに使う言葉です。なんとなく丁寧に感じるかもしれませんが「ドリンクはコーヒーのほうでよろしいでしょうか」とは言いません。比較対象がない場面のため、シンプルに「ドリンクはコーヒーでよろしいでしょうか」が良いでしょう。
・「~になります」は「~でございます」へ
「~になります」は、「おたまじゃくしはカエルになります」といったように、あるものが変化するときに使われる言葉です。そのため、変化しないものに対しては基本的に使いません。たとえば「こちらのお値段になります」という表現は、「こちらのお値段でございます」「○○円でございます」などに言い替えます。「ございます」が堅苦しく感じる場合は「~です」としても良いでしょう。
・「○○円からお預かりします」の「~から」は使わない
会計時に使われがちな言葉として「~から」があります。「1万円からお預かりします」といった表現です。しかしこれは不要な言葉で、なくても十分に意味が伝わります。会計ではシンプルに「1万円お預かりします」と言うのがスマートでしょう。
・おつりがないときは「お預かりします」は使わない
会計時に間違いやすい言い回しとして、「○○円ちょうどお預かりします」という表現もあります。「預かる」は返すものがあるときに使う言葉のため、「ちょうど預かる」といった使い方はしません。請求額と支払い額がピッタリでおつりが発生しないときは、「○○円ちょうどいただきます」としましょう。
接客が上手い人はフレンドリー?お客様には失礼と思われているかも
「接客では敬語が大切とはいえ、そんなにかしこまる必要あるの?」「堅苦しいのでは…」といったご意見もあるでしょう。もちろん、お客様と打ち解けて話すうちに徐々に敬語がくだけていく、フレンドリーな接客を求めるお客様を担当する、といったケースも多々あります。しかし、接客する側としては、お客様を立てる丁寧な姿勢や言葉を忘れないことが大切です。
接客が上手い美容師はお客様との距離感が近く、傍からはフレンドリーに見えるかもしれませんが、決して「接客が上手い=フレンドリー」ではありません。
<接客が上手い美容師の特徴>
・身だしなみが整っている
・表情が明るい
・聞き上手
・説明上手
接客を得意とする美容師は、自身の身だしなみや表情、お客様の話を聞く態度や施術の説明にも気を配っています。お客様との距離を詰めながらも丁寧な言葉遣いは崩さない、という方が多いのではないでしょうか。フレンドリーな態度を重視してあまりにもくだけた言葉遣いでお客様に接すると、「この美容師さん失礼だな」と思われてしまう可能性があるため気をつけましょう。
新規のお客様や、来店回数がまだ少ないお客様へは特に丁寧な言葉遣いで接したいものです。信頼関係ができている常連さんであっても、「会話が第三者に聞こえたときにどう思われるか」を意識して節度ある接客を徹底しましょう。
「◯◯様でございますね」は間違い!正しい敬語を知ろう
言葉遣いの間違いはバイト敬語だけでなく、3種類の敬語「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」が混ざって生じる場面もあります。たとえば、「◯◯様でございますね」は間違いで、正しくは「〇〇様でいらっしゃいますね」です。間違いの理由を、3種類の敬語それぞれをおさらいしながら解説していきましょう。
尊敬語とは?接客用語実例
尊敬語とは、相手を立てて敬うときに使う言葉です。おもに、相手である“お客様”を主語として動作を表すときに使います。
<尊敬語の例>
見る→ご覧になる
言う→おっしゃる
行く・来る→いらっしゃる、お見えになる
食べる→召し上がる
実際の接客シーンでは、「ボブカットのスタイルブックをご覧ください」「かゆいところがあればおっしゃってください」といったように使います。尊敬語は自身や自分側には使いません。たとえばお客様に対して「スタッフの○○はいらっしゃいません」と伝えるのは不自然です。この場合は「スタッフの○○は不在にしております」という表現が望ましいでしょう。
謙譲語とは?接客用語実例
謙譲語とは、自分を下げることで相手に敬意を表す言葉です。おもに自分自身を主語として動作を表すときに使います。
<謙譲語の例>
見る→拝見する
言う→申し上げる
行く・来る→伺う、参る
食べる→いただく
「ポイントカードを拝見します」のように、自身の動作については謙譲語を使用します。謙譲語はお客様が主語のときには使いません。「ショートカットとミディアムカットどちらにいたしますか?」「チョコレートです。どうぞいただいてください」などは間違った言い回しです。尊敬語で「どちらになさいますか?」「どうぞお召し上がりください」といった表現で話しかけましょう。
丁寧語とは?接客用語実例
丁寧語とは、「です」「ます」「ございます」など、丁寧な表現で敬意を示す言葉です。「お食事」「お金」「お誕生日」といった表現も丁寧語の一部で、美化語といいます。
<丁寧語の例>
見る→見ます
言う→言います
行く・来る→行きます、来ます
食べる→食べます
ある・いる→ございます
丁寧語は「本日担当の△△でございます」「雑誌でございます」のように、自分自身や物事を丁寧に伝えるときに使います。しかし、尊敬語のように相手を立てる言葉ではありません。冒頭の「○○様でございますね」は、敬語の使い方としては間違えています。この場合は、尊敬語の「いらっしゃる」を使い、「○○様でいらっしゃいますね」が適した表現です。
バックヤードに貼っておこう!間違いやすい敬語の種類
間違いやすい敬語は、正しい言い回しを繰り返し練習して言葉遣いを習慣化させましょう。美容師がおさえておきたい接客シーンで使える敬語をまとめました。
<間違いやすい敬語>
悪い例 | 良い例 |
ご予約の○○様でございますね | ご予約の○○様でいらっしゃいますね |
担当の者がいらっしゃいます | 担当の者が参ります |
店長はいらっしゃいません | 店長は不在にしております |
本日はカットでよろしかったでしょうか 本日はカットのほうでよろしいでしょうか |
本日はカットでよろしいでしょうか |
どちらのカラーにいたしますか | どちらのカラーになさいますか |
了解しました | かしこまりました、承知しました |
すみません、ごめんなさい | 申し訳ございません |
俺は、自分は | わたしは、わたくしは |
お会計は5,000円になります | お会計は5,000円でございます |
○○円からお預かりします | ○○円お預かりします |
○○円ちょうどお預かりします | ○○円ちょうどいただきます |
レシートのお返しです | レシートでございます |
ご苦労様でした | お疲れさまでした |
このほか、美容室での接客においては以下の言い回しをマスターしておくのがおすすめです。
<接客で役に立つ言葉>
・恐れ入ります
・ありがとうございます
「恐れ入ります」は、相手に感謝の気持ちを伝えたいときや、お願いごとをしたいときに役立つ言葉です。褒められたときに「恐れ入ります」と返したり、「恐れ入りますがこちらで少々お待ちください」のように、相手の気持ちを思いやるクッション言葉として使えます。
「ありがとうございます」は説明するまでもなく日常に浸透している言葉ですね。通常の会話では「すみません」というところもあえて「ありがとうございます」に変えると、お客様に気持ち良く過ごしていただけるでしょう。
敬語やマナーをマスターして接客上手を目指そう
接客が上手な美容師は、お客様の心を掴むのが上手な人です。マナーを心得た態度や正しい敬語、美しい接客用語の習得は、お客様にとって心地良い空間を作るために役立ちます。美容室のオーナー様は、スタッフ一人ひとりの言葉遣いにも気を配る必要があるでしょう。今回ご紹介した間違いやすい敬語の例を、ぜひサロン業務にお役立て下さい。
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